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大規模修繕工事Q&A
- 大規模修繕の予算(金額)はどのくらい掛かるのでしょうか?
- ビルやマンションの大規模修繕工事の予算は、規模や高さ、構造等によって変わります。目安として、戸当たり80万円~120万円と考えておくとよいでしょう。規模の小さなマンションでは高くなり、規模の大きなマンションで安くなる傾向があります。
仕様を改良したり、グレードアップを考えたりすると当然高額になります。
予算を抑えるには、足場が要らない工事を次回にまわしたり、まだもちそうな部分を取止めにしたりして工期を短縮するなどが考えられますが、いずれにしても管理組合の合意形成が必要になります。
- マンションの大規模修繕工事は、必ず行う必要はあるのでしょうか?
また、どの部分の工事をいうのでしょうか? - 大規模修繕工事の目的は、一般的に建物を長持ちさせ、現在の価値を落とさないようにすることにあります。
工事範囲は、屋上防水や外壁仕上、共用廊下、バルコニーなど、共用部の屋外部分とするのが一般的で、専有部は範囲外とされます。
そのための工事内容は、
- (1)・・・直接仮設工事…外壁などの工事に必要な足場を設置する工事
- (2)・・・下地補修工事…コンクリート躯体や仕上材の劣化を修復する工事
- (3)・・・外壁仕上工事…外壁塗装や外壁タイルの塗替、張替を行う工事
- (4)・・・シーリング工事…サッシ廻りなどに充填されるシーリングを更新する工事
- (5)・・・鉄部塗装工事…鋼製ドアや配管類などの錆を落とし、再塗装する工事
- (6)・・・防水工事…屋上、バルコニー、開放廊下などの防水を更新する工事
- (7)・・・その他工事…前記工事に付随する工事やグレードアップを行う工事
特に水分が壁や躯体内部に入ることによって劣化は早くなりますので、まずは、防水関係の水分をなるべく建物内部に入れないようにすることが大切です。
塗装やシール、モルタル等の劣化しやすい部分をメンテナンスして建物全体の劣化を抑制するのが大規模修繕工事です。グレードアップ工事は、大規模修繕工事の際に足場がないとできない工事を一緒に行うことになります。
- 工事業者の選び方はどうすればよいでしょうか?
- 見積依頼工事業者の選定は、1ヶ所の推薦を避けるべきです。
見積依頼をする業者としては、ゼネコン、管理会社、専門工事業者などが考えられます。
建物修復と躯体の保全という観点では、塗装、防水などを得意とする防水専門業者を選択することも有意かもしれません。
- 工事中の追加工事による費用の増加はあるのでしょうか?
- 工事費の追加となる場合がある工事項目には、下地補修工事が挙げられます。
この工事は建物の傷んだ部分を補修する工事ですので、足場を組んで外壁面を全面打診検査しないと補修数量が確定できません。
通常は見積段階では、目視による劣化状況から補修数量を対象部位の面積に対し、概算で数量を想定します。相見積の場合は各業者統一した予測数量で見積を依頼することになります。
工事の段階で足場を組んで打診等の調査を終えた後、直ちに実行数量を算出し、見積時の予測数量に対し、工事完了後に増減精算費として費用を確定します。
劣化損傷図などと調査後の実行数量によって、根拠の見えづらい追加にはならず、誰もが納得できる追加費用(減額の場合もあります)になります。
また、大規模修繕工事の工事中にグレードアップや工事見積項目にない工事が必要となることがあります。
この場合は、発注業者に対象となる工事の見積を新たに依頼し、工事予算を勘案の上、追加工事として発注します。
ただし、分譲マンションでは、大規模修繕工事は住民総会での承認を得て発注されていますので、予算外の追加工事費は直ちに認められません。
大規模修繕工事では、居住者の期待も大きく当初の工事項目以外の工事が必要となるケースも少なくありません。大規模修繕工事の予算には予め発注側として予備費を5~10%程度、見込んでおくのもよいでしょう。
- 大規模修繕工事の前に、建物劣化調査がなぜ必要なのですか?
- 建物劣化調査を行う目的は、建物の劣化状態を詳細に把握することで工事の実施時期や適切な工法を判断するためです。
長期修繕計画表による工事実施時期は、新築当時に設定されている場合もありますが、実際の建物の劣化状況は新築当時の予測だけでは不十分です。
工事実施時期は、計画表に示される修繕周期の前に建物診断を行った上で判断することをお勧めします。
計画した修繕周期が到来しても、直ちに工事をする必要がないこともあります。
建物劣化調査は建物の健康診断と同じで、建物の劣化状態を技術者による目視、打診の他、機械などを使って具体的に把握するものです。タイルや塗装に浮いている部分はないか、ひび割れはないかなどをしっかりチェックします。
診断結果により修繕が必要な箇所と時期を特定し、合理的な工事を行うことが可能です。
また、一口に修繕と言っても様々な工法が考えられます。
建物劣化調査を行うことにより、劣化部分の適切な修繕方法を選ぶことができます。
- 現在の修繕積立金で大規模修繕工事ができますか?
- 前述のQ&A大規模修繕工事の予算を参考にしてください。
予算金額の詳細を知りたい場合は、選定予定業者やコンサルタント会社に依頼して、建物劣化調査の後、概算予算を算出することになります。
その概算予算と修繕積立金とを比較検討することになりますが、場合によっては、一時金や借り入れが必要です。
大規模修繕工事では、建物全体の維持保全を目的としていますので、中途半端な工事で、大規模修繕工事の内容やクオリティに満足することができず、かえってマイナスになることもあります。
予算によっては、漏水の発生など応急的な修繕工事を先行させ、修繕積立金の積立を待つのも一つの方法です。
- 建物診断はどのような内容ですか?
- 一般的には、外観目視打診調査、屋上防水劣化調査、仕上材の付着力検査、シール材の劣化度検査、コンクリート劣化状態検査となります。
大規模修繕工事のための建物診断には耐震診断は含まれません。
外観目視打診調査は目で見える範囲、手が届く範囲の調査となり、屋上防水劣化調査は目視での調査です。
詳しくは、当ホームページの建物調査・診断サービスのページを参考にしてください。
大規模修繕工事 着工前・工事中Q&A
- 今度自宅のマンションの外壁塗装をすることが決まり足場を建てるそうなのですが、バルコニーに設置したBSアンテナ(CSアンテナ)の移動はどうなるのでしょうか?
- 賃貸マンションについては建物の改修はマンションオーナー様の負担で行いますので、工事業者からオーナー様に提出する見積もりに(足場の外側などへの)仮移設費用が組み込まれるのが一般的です。
分譲マンションについては住まわれている方々の負担(修繕積立金)で改修を行います。
また、BS(CS)アンテナを設置されている方とそうでない方がいらっしゃいますので、業者側から移設を希望される方をお聞きして個々に有料で対応する場合が一般的です。もちろんご自分で移設をしても構いませんが、安全上の問題から足場の外側にご自分で設置をされるという行為は許容されないかと思われます。
- マンションの外壁塗装を検討していますが建物の目の前に多くの電線が走っています。工事を行う上で足場を建てるかと思いますが支障はないのでしょうか?
- 足場を組み立てる時などマンションの近くに電線があると感電する恐れがあるので、電力会社により電線をプラスチックカバー(仮設防護管)で保護します。通常工事業者が電力会社に設置依頼の連絡をします。
- 工事中に工事内容でわからないことがあるのですが…。
- 工事内容の詳細は、工事説明会や工事中の注意事項など工事業者の配布資料を参考にするほか、工事期間中は現場の事務所に問い合わせることができます。
- 工事の情報は、どのように知ることができますか?
- 全体の工事日程を示す「工程表」、各工事に関する日程を示す「工事のお知らせ」などの書面が随時掲示板に掲示されます。
工事の種類によって各戸ごとに日程が異なる場合は、各戸に連絡チラシが配布されるのが一般的です。
- 作業日、作業時間を教えてください。
- 工事の作業日は、通常、月曜~土曜日。作業時間は、午前8時30分~午後5時30分
原則として日曜日・祝日は休業日となります。
ただし、ご在宅いただく必要のある工事で、平日ではご都合がつかない場合などは、各戸の状況に応じ、日曜日・祝日に工事を行うことがあります。
- 工事期間中、在宅しなければならない時とはどのような時ですか?
- 例えば玄関ドア枠の塗装時です。ドアを一定時間開けていただくため在宅が必要となります。在宅日時が決定された後、事前に連絡チラシ等で各戸に案内されます。
- 玄関ドア枠の塗装には、どれくらいの時間が掛かりますか?
- 玄関ドア枠の塗装の時は、1住戸当たり施工時間40分程度、乾燥時間3~5時間程度が想定されます。
- バルコニーにある物置・植木などは、どうすればよいですか?
- マンション居住者の所有物でもあり、居住者が一時撤去、各戸にて保管するのが原則です。
作業時の安全を確保するとともに、所有物の破損、ペンキの汚れの防止のためにも撤去、一時保管が必要になります。
<バルコニー内での作業>
- ・軒天清掃・塗装
- ・サッシ廻りのシール打ち替え
- ・壁の洗浄・補修・塗装
- バルコニー内の所有物はいつまでに撤去しなければなりませんか?
- 工事業者より連絡チラシで撤去時期は案内があります。
またバルコニー内の作業が完了した段階で復旧可能である旨の連絡があります。
- エアコンの室外機は、どうしても撤去する必要があるのですか?
- マンションでの塗装工事、防水工事を行うために、工事に支障となる室外機の撤去が必要となる場合があります。
外部足場が設置された後、調査員または現場責任者がバルコニー内の調査を実施し、撤去の要否を判断します。
- エアコンが使えない時はありますか?
- バルコニー内での工事期間中は、エアコンが使用できなくなる場合があります。
夏季にエアコンのドレン排水により防水工事ができないケースがそれに当たります。
- バルコニーに出られない期間はどれくらいですか?
- バルコニー内での工事期間中は、バルコニーへの出入りができない時があります。
工事内容、仕様によって異なりますが、概ね1住戸で2週間程度が一般的です。
連絡チラシ等で各住戸に案内が配布されます。
- 網戸は外さないといけないのですか?
- サッシ廻りのシーリング工事の際などに取り外しの必要があります。マンション居住者の方での取り外し・取り付けが困難な場合もありますので工事業者に相談してください。
防水Q&A
- 屋上防水の種類がわかりません。
- 防水工法については、当社ホームページ「工法・技術について」を参考にしてください。
- 屋上防水の耐用年数はどのくらいでしょうか?(防水 耐用年数)
- 当社ホームページ「耐用年数について」を参考にしてください。
- 漏水が進むと建物はどのようなダメージを受けますか?
- 天井や壁がひどく汚れていたりカビが生えたりしていませんか?
このような現象は建物にとっての危険信号です。「雨漏り」が原因になっていないか調べる必要があります。
雨漏りは家具や家財に損害を与えるだけではなく、建物の構造に悪影響を及ぼします。バルコニーや庇といった場所での漏水でも放置するのは大変危険です。
雨漏りを見つけたら早急な対策が肝要です。
- 壁や窓の周囲から雨漏りが発生して止まりません。
- ビルやマンションなどの建物構造には大きく分けて鉄筋コンクリート造と鉄骨造があり、その構造により漏水の原因が異なるケースがあります。
- (1)・・・屋上防水やバルコニー、開放廊下の防水に劣化の進行があり、防水層の断裂や防水層端部のシールに剥離や剥がれがある場合
- (2)・・・サッシ廻りや構造躯体、異種部材間に施されたシーリング材の剥離・欠損による場合
- (3)・・・外壁仕上材(塗装・タイルなど)の劣化が進行し、躯体コンクリートにひび割れや欠損、爆裂などがある場合(ジャンカなどの不具合部分は仕上材に隠れている)
- (4)・・・屋上排水ドレンの排水能力不足により雨水が防水立上り端部まで滞留する場合
- (5)・・・暴風時など、強風を伴う降雨により給排気口などのガラリから雨水が浸入する場合
- 防水改修の工法にはどんなものがありますか?
- 当社ホームページ「防水工事」に各種防水工法を掲載しています。
- 防水工事の保証期間はどれくらいですか?
- 通常、新築の場合は竣工後10年間の防水保証が付いています。
改修工事においては、既存の下地条件や改修工法・仕様によって異なりますが、例えば屋上防水など防水面の全面改修であれば最大10年間の再度の保証がなされます。
部分的な修繕や応急的な補修工事では防水保証はありません。
詳しくは当社ホームページの「安心の防水保証」をご参照ください。
- 防水改修工事の際、騒音や臭気などは発生しますか?
- アスファルト防水工法では、アスファルト溶融する際に煙や臭気が発生します。
塗膜防水工法やシート防水工法では、使用材料の一部に有機溶剤を含んだものがあり、プライマー処理工程など一時的に溶剤臭がすることがあります。
また、改修方法によって既存防水層の全面あるいは一部撤去が必要となる場合があり、その撤去作業時の騒音、機械固定工法では固定アンカーの打設時のドリル音など、作業上、やむを得ない騒音が発生します。